*この作品はヒクソンです*
これは、乾燥人間の暴走の悲劇から3年後の話である。
3年前の乾燥人間暴走の渦中にいた朝比奈は、ロンドンの大学で考古学を専攻している。ヨーロッパの歴史について研究している朝比奈は、大学のゼミでKICHIGOY Xについて話を聞いたのだった。
KICHIGOY X 解説----------------------------------
かつてナポレオンがエジプトのミイラを兵器に扱おうとして、使用した液体兵器である。壊死した細胞をこの液体に30時間ほどつけておけば細胞がよみがえり、まるで生き返ったかのようになる。よみがえらせるトリガーは、エタノールである。さらに、KICHIGOY Xに添加する液体によってさまざまな性格や種類の乾燥人間を生み出していたそうだ。なお製造方法が記された文献は、対仏大同盟の戦いにて消失してしまっている。
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朝比奈は調査の一環として、セントヘレナのある古民家に来ていた。
セントヘレナとは、イギリス領の火山島で、南大西洋の孤島である。
さらにナポレオンが最後を遂げた地でもある。
朝比奈は、ため息をつきながら口を開いた。
朝比奈「何しに来たんだお前?」
そういわれたのは、高身長色白の男であった。
彼の名前は西園寺、イギリスの医学部に在籍し脳科学について研究している、マッドサイエンティストな気質があり、裏では人類蘇生の研究をしているが、明らかになると大問題になるのでこの事実を知るものは、朝比奈を含めて少数しかいない。
西園寺「この地に歴史に封印された禁薬KICHIGOY Xがあると思ってね」
朝比奈「いや、それはさすがにないだろ。あの薬は歴史とともに葬られたはずだ、存在なんかしないね」
西園寺「でも、存在する可能性はゼロとは言えないだろ。例えば、ナポレオンが製造方法を知っていて秘密裡に作っていたとかさ…」
不気味に西園寺は言った。彼の色白の顔と表情でさらに不気味に見えた。
朝比奈「確かに、可能性はゼロとは言えないけど作って何をするんだよ」
西園寺「永遠の命さ。KICHIGOY Xは、壊死した細胞をもとに戻してくれる。こんな風にさ…」
その瞬間、西園寺は近くにいたカエルをまっ平に踏み潰した。そして、ポケットから小型のビンを取り出すと平らにの状態のままカエルは再び動き出した。
朝比奈「どこで手に入れた。それを…」
西園寺「古民家の暗号さ、君は机の傷を見逃していたけど、解読すればKICHIGOY Xの製造法が書いてあったよ。ナポレオンが残したのだと思うけど。君の研究の調査についていなかったら解読できてなかったよ」
朝比奈「やったじゃないか、君の目標であった人類蘇生の目標に一歩前進したな。けどよ、、、くれぐれもそれは悪用するなよ」
西園寺「分かってる。これは平和的利用に使ってもらえるように改良するよ。しかも、暗号が記した机の傷を足しておいたから僕しか製造法は知らないなぁ。」
夜が訪れ、ロンドンに戻った朝比奈たちは街の裏通りに出かけていた。
朝比奈「ここの通りは物騒だから、早く抜けようぜ」
西園寺「臓器売買の現場とかありそうだな。最近ここで起きているらしいぜ。」
朝比奈「なおさら、やばいじゃねえか早くいくぞ。」
朝比奈と西園寺の後ろに男が現れた。金髪の顔の整った青年だった。
男「臓器売買??買取人かオマエ…」
男は凍り付くような殺気を放ちながら、声を放った。
西園寺「いや。あくまでもイメージがあるねっていう話で…」
その瞬間、西園寺の心臓に激しい衝撃が走った。そこには、銃で風穴を開けられていたのだ
西園寺「ああああ、うあ」
朝比奈「西園寺!!!」
男「お前もか…」
朝比奈の脳天に衝撃が走った。そして、男は夜の街に消えていった。
朝比奈、西園寺の二人は死んだ。
いや、そのように見えただけだった。倒れた、西園寺のポケットからビンが割れて液体が飛び出しKICHIGOY Xが二人の死体にかかったのだ。人通りの少ない街道で、彼らの死体は男以外に見かけられることがなかった。
約30時間後、KICHIGOY Xによって活性化された細胞によって、西園寺の心臓を朝比奈の細胞で修復し、朝比奈の脳を西園寺の細胞で修復したのだ。二人は同時に起き上がり、目を合わせた。
朝比奈「蘇ったのか…?」
西園寺「みたいだな…なんか前よりもなんだか賢くなった気がするな。考古学のこととか…」
朝比奈「俺も、今ならKICHIGOY Xを作れる気がする。」
二人は、薄々気が付いていたがお互いの脳の記憶を手に入れていたのだ。
朝比奈「それにしてもあの男許さねえ」
西園寺「その意見は、同感だな」
朝比奈と西園寺は、謎の男に反撃をする決意を固めた。