雀の骸

東雲の下のシャッター街

 

明滅する街灯を浴びる中、空気も雰囲気も冷え切った街道を独り歩く

 

しじまの中とは言わないが、街は静寂

 

この寒さは、気温からか静けさからか…… 

そんなことはどうでもよかった。

 

青く深い街道の向こうを仰げば、煌びやかな楼閣が並び立つ。

 

それらは同じ町に存在するが、久遠の距離に位置するかのように感じる。

 

きっと楼閣の中では、人々が浅酌低唱して楽しんでいるのだろうか。

 

男にとっては、酒は憂いの玉帚でしかない…… 

そんなことはどうでもよかった。

 

男は立ち止まった。

 

足元には雀の骸、不自然に羽が散らばっている。

烏が襲ったのだろうか。

 

前方には片足のみの運動靴、川を流れている。

誰かが落としたのだろうか。

 

後方には犬の汚穢、踏みにじられている。

誰かが踏んだのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

私だった。

 

今日も田舎は平和である。